地球上に次々と現れる怪人を、一撃(ワンパンチ)で倒す『ワンパンマン』。
主人公は、趣味でヒーローをやっている25歳の【サイタマ】です。
サイタマが初めて登場した瞬間、「今までこんなにシュールで愉快なヒーローマンガは読んだことが無い!」と衝撃を受けました!
サイタマの見た目がとにかくユルいんです。
むきたての卵のようなツルっとなめらかな顔に、中学生の落書きのような目や口がついています。
死に物狂いで特訓して無敵のパワーを身につけたせいでハゲています。
からだも細くて筋肉がついているようには全然見えないです。
背中のヒーローマントや腰のヒーローベルトをしていなければ、シルエットはツクシかモヤシです。
「何者だお前は」と尋ねる怪人ワクチンマンに対して、サイタマは「趣味でヒーローをやっている者だ」と答えます。
ワクチンマンは「なんだその適当な設定は…」とイラっとして怒りを爆発させます。どこから見ても適当なヒーローのサイタマのユルさが際立つのは、血管がリアルに浮き出た怒れる怪人や、怪人に破壊される街の細かくてきれいな描写とのギャップのおかげだと思います。
『ワンパンマン』の原作は、もともとはONEさんが2009年からインターネット上で無料連載していました。
インターネット上に連載されたマンガは、1000万強アクセスに到達する程の人気が出ていました。
ONEさんが描いた『ワンパンマン』の絵は、細かい部分までは描き込まれていないのですが、絵そのもののバランス良くて適当なタッチにも関わらず読みやすいものでした。
その『ワンパンマン』原作のファンだった村田雄介さんから、ONEさんに連絡したことがきっかけで、この作品は生まれ変わりました。
村田雄介さんは、少年ジャンプで『アイシールド21』というアメリカンフットボールをテーマにしたマンガの作画を担当していた方です。
例えばONEさんが描いた怪人モスキート娘は、蟻か蜂にも見えなくも無い身体で、顔だけ人間という見た目でした。
ところが村田雄介さんが描いたモスキート娘は、顔の可愛らしさとセクシーさが追加されますし、眼や棘のある触角があって、これは蚊の怪人だ!とはっきり分かります。
サイタマは強すぎていつも一撃で敵を倒してしまうので、「圧倒的な力ってのは つまらないもんだ」とかっこいいことも言います。
しかし戦いの途中で敵に「天井弁償しろ」とか「土ん中ってひんやりしつつ温かさもあって気持ちいいんだな」等、無敵のヒーローとは思えない発言もあって、ほのぼのします。ただの二枚目ヒーローと違って、サイタマを何だかカワイイと思わせるところが魅力です。